大船渡線、BRTとして復活

大船渡線一ノ関駅から気仙沼駅、その先、気仙沼駅から盛駅までは、大船渡線BRT(バス路線)として運行している。以前は通して列車区間だったが、東日本大震災の影響で、気仙沼駅から先の海岸部分は廃線となりBRT区間となった。路線の形が曲がりくねっており、竜に例えて『ドラゴンレール』という名がついている。

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一ノ関駅を出ると、のどかな風景が続く。

陸中門崎駅から千厩駅間の路線線形は『コ』の字の形をしている。政治的な絡みのせいか、国道は直線で結んでいるのに対し、大船渡線は『コ』のじを描くように、大回りをしている。この間にある猊鼻渓駅では数名の観光客が降車。駅名の通り、日本百景の渓谷で舟下りができる観光スポットがある。1時間半弱で気仙沼駅に到着。ここから盛駅まではBRT路線になる。

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時間があったので、町を散策。やはり港町、海鮮物が食べたい。港付近は、震災の影響をもろに受けたが復興が進められていた。食堂で旬の魚をいただいて、気仙沼駅まで徒歩でもどる。

BRTに乗車して、盛駅に向かう。乗換ホームは鉄道と並行されておりスムーズにできる。かつての鉄道敷地部分を舗装しBRTを走らせているが、一般道も路線として使用している。鉄道時代にくらべて本数、駅 (停留所)も増えており利用がしやすくなった。

お昼の時間帯とのこともあって車内はガラガラ状態。駅は病院や役場にも設置されているので、地元の方が頻繁に乗り降りをしていた。

陸前高田付近では、震災の爪跡が残されており、被害の重大さを感じる。美しいリアス海岸にも堤防が数多く築かれている。BRTは大船渡市に入り、まもなく終点、盛駅三陸鉄道への乗換駅である。

廃線となり、鉄道として旅ができなくなるのは残念だが、地域の方々の生活を考えるとBRTというのは今後、主流になっていくのかもしれない。

 

山海路線、山田線

盛岡駅から早池峰山のある北上山地を抜けて、宮古駅まで、2時間をかけて岩手県を横断する山田線。 並行する急行バスよりも本数が少ない、1日4往復の山岳路線である。以前は釜石駅までだったが、東日本大震災後、宮古駅から釜石駅間は三陸鉄道に移管したため宮古駅までとなっている。このため山田町は 三陸鉄道部分となってしまったが、路線名は山田線のままである。

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盛岡駅を出発、岩手山を眺めていると、徐々に民家も少なくなり山の中へと入っていく。上米内駅を過ぎると駅間も長くなり、森林の中へと景色は変わる。勾配もきつくなり、区界峠へと登りが続いていく。以前はスイッチバックを採用していたようだ。途中、廃駅跡があり、一駅間は20キロに及ぶ。いくつかトンネルを抜けたその先には、高原風景の区界駅。峠の先にあるこの駅は、東北一高い駅としても知られている。ここからは閉伊川に沿って下りになり、国道と並行しながら走っていく。

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この先の茂市駅から『日本一の赤字路線』と言われていた岩泉線があったが、台風の影響を受け、2014年に廃線となってしまった。秘境駅として注目を浴びていたが、再開のメドがたたなかったとのことで、とても残念である。

終点宮古駅に到着。三陸鉄道との乗換駅。一気に潮風ムード漂う港町風景になる。

長い山間を抜けて海岸域にまで向かう、まさに山海路線である。そして、災害における運休にしばしば見舞われる。この自然を感じさせる車窓風景は見事であり、いつまでも残してほしい路線だ。今度は紅葉の時期に乗車してみたい。

 

 

花輪線に乗れた!

秋田県岩手県にかけて縦断する花輪線は3時間の列車旅となる。大館駅から途中、十和田南駅にてスイッチバックをして盛岡駅へ向かう。八幡平を望みながら進む路線は、2時間に一本しかないローカル線で、地元の人々の生活の足となっている。

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長旅になるので、大館駅で『とりめし弁当』を購入。埋まっていた座席はすぐにガラガラになり貸切状態となる。JRには申し訳ないが、貸切列車ほど満足感はない。

大館駅を出発、30分程で十和田南駅。スイッチバックによる下り列車との交換となる。

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下り列車を見送り、進行方向が変わり、15分程で花輪鹿角駅。ここで30分の停車時間があったので改札を出てみると、動輪が飾られてあり、花輪線の歴史を物語る写真が飾られていた。花輪線の名称もこの駅名からとったものだ。かつては付近に鉱山があり、活気があったようだ。

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出発したところで弁当を取り出した。この路線での目的の一つ、雪景色。1月末なので、白銀の景色を眺めながらでの、最高の昼食となった。

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平野部が続いたが、八幡平駅あたりから山間に入り、渓谷の中にある湯瀬温泉駅から先は岩手県に入る。安比高原駅あたりでは急勾配区間が続きディーゼルエンジンがうなりをあげて走る。また積雪も増えて、雪煙を上げながらの走行は迫力がある。松尾八幡平駅からは、開けた平野になり岩手山を望むことができる。好摩駅より、いわて銀河鉄道線となり石川啄木のふるさと渋民駅を通り、終点盛岡駅に到着。

 

時刻表の路線図を見ながら、花輪線まで手を伸ばすのは難しいと思っていた。大館駅盛岡駅ともに接続時間があまりよくなかったこともあり、この先、乗り継ぐことを考えると花輪線に乗るのは厳しかった。ただ、この花輪線の雪の季節にどうしても乗りたかったので、今回、チャレンジし乗車できてよかった。期待通りの大満足だった。

 

リゾートしらかみ

観光列車の中で、特に人気が高いのは五能線であろう。一度は乗ってみたい路線のひとつだ。TV番組や雑誌にもよく紹介されているので、シーズン中の予約はいっぱいである。

リゾートしらかみは、青森〜秋田を弘前を経由しながら、奥羽本線五能線へと走っていく。津軽地方の海岸沿いを走る、自然を満喫できる路線だ。

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青森駅発のリゾートしらかみ『青池』号に乗車。まずは弘前駅に向かう。津軽平野にりんご畑が広がり、右に岩木山、左に八甲田山を望むことができる。弘前駅から折り返し川部駅から五能線に入る。有名なストーブ列車のある津軽鉄道との乗り換え駅、五所川原駅を通り、鯵ヶ沢駅付近から海が見始める。豪快な日本海の景色が広がる。

リゾートしらかみ号は三編成あり、『青池』『橅』『くまげら』の名がついている。それぞれ景色を見回せる窓や座席になっており、車両内で津軽三味線や人形芝居のサービス、また、乗車記念グッズや飲食物の無人販売がある。

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千畳敷駅では長時間停車をがあり、目の前にある、岩場の広がる千畳敷海岸に歩いて行くことができる。この先の行合崎海岸はまさに絶景。日本海に沈む夕陽はとても美しいことだろう。世界遺産でもある白神山地、青池のある十二湖駅を過ぎ、五能線の終着駅、東能代駅。ここから再び奥羽本線に入り秋田へ向かう。八郎潟開拓地、男鹿半島の寒風山を望みながら、終点秋田駅へ到着。5時間の長旅に大満足である。

 

 

 

さんてつ③

震災前は宮古から釜石まで は、JR山田線として運行していた。山田線を挟んで北リアス、南リアス線とて運行していたが、震災後は山田線部分も三陸鉄道として生まれ変わった。これで三陸鉄道は走行距離163キロと第3セクター鉄道のなかで日本最長の鉄道となった。

釜石駅は、JR釜石線との乗換駅。以前はシンボルとなる橋上市場があったが、河川法と老朽化もあって撤去されてしまった。『ラグビーのまち』としても有名で新日鐵釜石ラグビー部の歴史は輝かしい。鵜住居駅近くには、ワールドカップでも使用されたスタジアムが車窓から見える。

途中、警笛を鳴らし、列車が走り出さない。なんと線路上にシカが立ちはだかっている。なかなか見られない光景だ。三陸鉄道では、このシカを観光資源としてPRしている。

この路線はトンネルが多いが、時折みせる景色は、すばらしいリアス式の海岸を眺めることができる。恋し浜駅では、ホタテの貝殻を絵馬にして、ホーム待合室に飾られている。

そして三陸鉄道の南端、盛駅。大船渡市に位置しており、JR大船渡線との乗換駅である。震災の影響により、大船渡線気仙沼駅までBRTとして運行されている。

震災復興を経て、素晴らしい景色と自然を味わえる三陸鉄道に、是非、乗車してもらいたい。また、『さんてつ』を守ってくれている、地元の方々を応援していただきたい。

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さんてつ②

三陸地方を語るときは、やはり東日本大震災のことに触れなければならない。以前、訪れたときに昭和初期に大津波が発生したという記録を知り「こんなに高いところまで津波が押し寄せたのか」と驚いたが、現実に起こると恐怖が走る。災害があった当時、動画や画像を見ながら心が痛かった。

今回、改めて訪ねてみると当時の大自然が人工的にはなったが、三陸という雰囲気は変わらず残っていてくれていた。とても嬉しかった。

被害の大きかった島越駅は、復興に難所だったところだが、現代の技術を駆使し大変なご苦労をされた結果、見事に復活を成し遂げた。このカルボナード島越やカンパネルラ田野畑のように岩手県出身の宮沢賢治にちなんだ駅名がおもしろい。

宮古駅へ行くと、三陸鉄道の本社、車両基地がある。本数の少ない三陸鉄道も、ここでは何両も見る事ができる。まさに三陸鉄道の心臓部である。駅前で海鮮丼をいただく。瓶ドンというご当地丼もある。地物をいただくことも旅の醍醐味である。駅には『さんてつや』という売店があり、さんてつグッズや地元名産品を手に入れることができる。

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さんてつ①

ローカル鉄道はとても味がある。それぞれの特色があり、職員や地域の方々の愛情が注がられいる。

三陸鉄道はどうしても乗りたかった鉄道のひとつだ。海岸線を走っているので、ロケーションが素晴らしく、ほぼ貸切の状態で最高の贅沢ができる。地元の高校生が一番のお客様で通学時間帯には混雑する。観光客へのもてなしも盛んで、リアス式海岸を眺られる橋梁では、列車を一時停車するサービスもしている。

普代駅は、もともと国鉄久慈線の終着駅だった。久慈から南下して、この普代までしか鉄道がなかったと思うと、当時の地元の方の努力や喜びが想像される。 この北三陸地域はNHK連続テレビ小説あまちゃん』のロケ地で使用され、観光の名所となっている。f:id:cyudon:20250202221027j:image